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骨粗しょう症に関心をもって欲しい

骨粗しょう症は誰もが名前こそ知っている骨の病気ですが、それほど問題視されていないのが現状です。しかし、骨粗しょう症になると骨がスカスカになってもろくなり、転んだだけで骨折することがあります。よく「骨折くらいで済んで良かったね」などと言われますが、骨粗しょう症の高齢者の場合、骨折すると著しく生活の質が落ちてしまいます。つまり、スムーズに歩くことなどそれまで当たり前にできていたことができなくなり、介護が必要になることもあるのです。もっと骨粗しょう症という病気に関心を持っていただき、自分の骨の状態をぜひ知って欲しいと思います。

閉経後の女性に多い病気

骨粗しょう症とは、骨強度が低下して骨折が起きやすくなる病気です。骨強度とは呼んで字の如く骨の強さで、骨量(70%)+骨質(30%)によって決まります。建造物に例えると、骨量はコンクリート、骨質は鉄筋の役目があり、どちらも十分でなければ、強い骨にはなりません。骨は、古い骨が壊されて新しい骨が作られるという新陳代謝を繰り返しています。ところが、骨粗しょう症の患者さんはこの新陳代謝のバランスが崩れ、古い骨が壊される量が増えて、新しい骨を作るのが追いつかなくなっているのです。原因は加齢や喫煙、飲酒、生活習慣病などが関係していますが、特に女性の場合は閉経による女性ホルモンの減少が要因となります。骨量はおよそ18歳でピークを迎えしばらくは維持しますが、その後徐々に減少していき、閉経になる50歳を過ぎると急激に少なくなります。女性はできるだけ40代に病院で検査をして自分の〝骨貯金〟がどれくらいあるのか知っておき、閉経後は定期的に検査を受けてどれだけ骨量が下がったのかを把握しておきましょう。また若い人が行う過度なダイエットも骨貯金を減らす原因です。それと、副腎皮
質ホルモン剤(ステロイド等)を内服されている方は要注意です。一方、男性は女性に比べて骨粗しょう症になる率は低いのですが、生活習慣病や呼吸器疾患の患者さんは骨質が低下する傾向にあるので検診をおすすめします。
しかし、先ほどもお話したように日本ではまだ、骨粗しょう症に対する人々の関心が低いため、検診に行く人が少なく、特に福岡県は全国平均よりも少ないという状況にあります。

怖いのは骨折しやすくなること

骨粗しょう症は、一般的には自覚症状がありません。問題なのは、骨折を起こしやすくなるということです。骨折しやすい部位は、背骨(椎体)、太もものつけ根(大腿骨頚部)、腕のつけ根(上腕骨)、手首の骨(橈骨)です。特に著しく生活の質を落としてしまうのは、背骨と太もものつけ根の
骨折です。若い頃と比べて背が縮んだり、背中が丸くなったり、背中や腰が痛むということはありませんか?心当たりがあれば、骨粗しょう症による背骨の圧迫骨折かもしれません。これは「いつの間にか骨折」とも呼ばれ、転倒などの理由のほかに自分の体重に背骨が耐えられなくなり知らないうちに骨折してしまうものです。
また、骨粗しょう症の患者さんが太もものつけ根を骨折した場合、手術や長期間のリハビリが必要となり、退院後も元のように動けなくなることがあります。
そして、一度骨折を起こすと次の骨折が起きる危険性が急激に高まります。だからこそ、骨折する前に骨粗しょう症の治療を行うべきであり、骨折した後も治療を続けることが大切です。両親のどちらかが大腿骨頸部骨折をされている方は、骨粗しょう症の危険因子の一つと言われています。

要介護や寝たきりの原因に

脳血管疾患や心臓病は要介護になるリスクの高い病気として知られていますが、骨折も要介護になる主な原因の一つです。骨粗しょう症になり骨折を繰り返すと身体機能が落ちて活動量が減り、内臓疾患にもなりやすく寝たきりになる人も多くいます。それほど骨折は健康寿命に大きく関わり、ご家族の生活にも影響を及ぼすものです。脳血管疾患や心臓病の予防や治療を重視するように、骨粗しょう症の予防や治療にも取り組んでいただけたらと思います。

検診を受けて自分の骨を知ろう

福岡リハ整形外科クリニックでは、問診で気になる症状や生活習慣を伺った上で、骨代謝を評価する骨代謝マーカーや骨密度を測定するDXA(デキサ)という機器で検査を行います。
症状によっては、レントゲンやMRIで骨折の有無を検査することもあります。DXAによる検査は、特に骨折しやすい腰椎・大腿骨の骨密度を検査するもので精度が高く、薬物治療の効果を捉えることにも適しています。検査の結果、脆弱性骨折があり若い人と比較して骨密度の値が80%未満の方、また、脆弱性骨折がなく骨密度が70%以下の方が骨粗しょう症と診断されます。

治療を続けることが大事

検査結果が正常と診断された方は、バランスの良い食事と適度な運動を心がけ骨の健康に努めましょう。
骨粗しょう症と診断された方は、運動・食事・薬物の三位一体で治療を行います。お薬は、大きく分けて、骨の形成を促す薬、骨が壊れるのを抑える薬、骨に必要な栄養を補う薬があり、骨密度や生活に応じて処方されます。薬で骨の量を増やすことは可能ですが若い頃に戻ることはありません。しかし、治療をしなければ加齢とともに骨量は低下し続けます。治療で骨量を増やして維持し骨折を予防することが大切です。

 

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掲載日:2018年09月

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監修:福岡リハビリテーション病院