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福岡リハビリテーション病院 理学療法士 平川 善之先生

理学療法士として患者さんのリハビリのサポートに力を発揮。特に膝に関しては高い専門知識を誇る

痛みの修正、生活習慣の改善、患者さんの心のケア…
すべてリハビリの役割です。

いわゆる一般的なリハビリのイメージというと、マッサージや機能訓練などととらえている人がとても多い。しかし現場の声を聞くと、実際の内容とその一般的なイメージとは少しズレがあるようだ。「まず、医師の診断をした上でどこが悪い患者さんなのか、という情報が共有されます。その情報を元に、まず私たちは、原因を見極める必要があります」という。悪い箇所がわかった時点でいきなりリハビリを施すのではなく、じっくりと問診をしたうえで、適したリハビリ方法を探すのだという。「例えば、日常の悪い動作の習慣により痛くなってしまっている場合があります。その場合は、正しい動きの指導をするだけで、痛みが消えてしまうこともあるんです」。つまり、リハビリ=「これ」といった定義はなく、患者さんごとに、適した痛みの修正方法を探り、実践していくことをリハビリというのだ。

◎福リハで受けられるリハビリとは…?

リハビリのスタートは大きく2種類。手術を行ってからリハビリに移行する「手術療法」と、手術をしない状態でリハビリを開始する「保存療法」だ。ただ、リハビリの観点から見てこの2つに大きな違いはなく、どちらも痛みを修正していくことが目的ということに違いはない。そのために問診をしっかりと行い、患者さんにとってベストな方法を探っていく。そして、痛くなった原因を探ると同時に、患者さん自身のリハビリに対するモチベーションも探っていく。例えば《なぜこのストレッチが必要なのか》《なぜこの全身運動をしなくてはいけないのか》をしっかり説明してからリハビリにとりかかることも、患者さんのモチベーションを高めるためのひとつの手段である。リハビリというのは、人の手で施すことがすべてではなく、リハビリの時間外での患者さんの行動によって、まったく成果は違ったものになる。「患者さんが自主的にリハビリに取り組んでくれるモチベーションに保つことも私たちの大切な役目です」。

◎患者教育という新しい考え方

患者さん自ら日常的にリハビリを取り入れるようになるには、《生活習慣》の改善が必要です。「リハビリの本質を理解し、太らないように気をつけていただくためには、ストレッチだけでなく全身運動も習慣づけてもらう必要があります」。そしてもうひとつ。気持ちを常にポジティブな状態に保っていくことも重要だ。例えば同じ怪我をした人が2人いたとする。1人は「このくらい、すぐ治る」というポジティブな考え方、もう1人は「ここから菌が入って悪化してしまったらどうしよう…」というネガティブな捉え方をする人だとした時、後者の方が圧倒的に痛みを感じやすい体質だといわれている。人は痛みを伴うと鬱傾向になってしまい、より痛みを感じやすくなることがある。そうするとさらに鬱傾向になる…という悪循環に陥ってしまうことがある。そして実際にこのような実験結果も出ているという。「同じように膝を患わっている2人の患者さんがいたとして「ここが悪いですが、まだこれだけ残っていますね!」と「ここが悪いんで、もうこれだけしか残ってないですね…」と異なる声がけをしたところ、ポジティブな声がけをした患者さんの方が診察室を出る歩行スピードが速かったという実験結果が発表されています」。そこで生まれたのが《患者教育》という考え方。では実際、患者教育とは一体どういうものなのだろうか?

福岡リハビリテーション病院が実践している“患者教育”について、他の病院からの問い合わせや講演の依頼が多数舞い込んでいるのだそう。「患者教育の注目度の高さがうかがえます」と平川先生はいう。

◎患者教育の重要性を医師たちも実感

実は、海外ではすでに主流となっている患者教育という考え方は、日本ではまだ限られた病院でしか取り入れられていないそう。「患者さんの心のケアもリハビリのひとつの要素だと考えて生まれた言葉が《患者教育》です。私たちはこの点に着目し、長い月日をかけて準備し、ようやく取り入れるところまでたどり着きました」。病院でリハビリを受けられる期間は、怪我をした日、あるいは手術をした日から150日間と決まっている。つまり、その期間以降というのは、患者さん自身に継続して家庭でリハビリを行ってもらう必要がある。その150日間を、受け身ではなくいかに能動的にリハビリに取り組めるかどうかで、その患者さんのその後が決まるといっても過言ではない。

まずは、福リハの患者さんで一番多い、膝のリハビリを行っている人むけの患者教育を開始。「1日1時間、入院患者さんで4回、外来患者さんだと4〜8回の授業を用意して、患者さんに受けてもらっています。今は、膝のリハビリを行っている高位脛骨切り術や人工膝関節置換術の患者さんを中心にアナウンスして、多くの方が受けてくださっている状態です」という。1人1人に対するケアもとても大切だけれど、集団で学習することで、お互いを高め合い刺激し合うこともとても重要なのだという。「授業時間や時間の設定は、研究結果にもとづいて設定されています。ただ、患者さんは比較的高齢者の方が多いので、大切なことはくどいくらい何度も伝えることを心がけています。入院中には特に人工膝関節置換術の患者さんを中心に《リハビリとはどういうものなのか》を伝えるDVDを3回くらい見ていただいてます。そして、授業では患者さんの手元に残るように、授業ごとにテーマを決めて資料を配布しています。まずは、手術をなぜ受けなくてはいけないのかから始まり、なぜ痛みが起こるのか、という根本的な勉強から始まります」。

そしてそこから、1授業ごとにワンステップずつアップして踏み込んだ内容へと進んでいく。リハビリの目的や、痛みに対しての正しい薬の服用方法など「痛み」に対する対処を学びながら、実際どのくらい睡眠をとればいいのか、筋力をつける栄養素は何なのか、など、自己管理の方法など、幅広く学習する。つまり、患者さんの「今」だけを見つめるものではなく、今も大切にしながら「将来」についても踏み込んだ授業なのだ。
また、同時にご家族の方にも指導を行う《家族教育》も行うことがあるという。「御見舞にいらっしゃっている患者さんの奥さんなどに、栄養素や睡眠等の生活習慣の指導を行うことがあります。やはり、家族の協力なくして、家でリハビリを続けていくことは難しいと思いますし、患者さん本人だけに伝えるよりも、より有効だと考えているからです」。

◎膝応援チームからの今後の広がり

患者教育において、「膝」のリハビリを受けている方を対象に行っているが、受けていただく前と後では活動量や痛みの程度などに、大きな成果が見受けられてたという。そのことにより、今後は「膝」だけではなく、どんどん範囲を広げて患者教育に力を入れていく予定だという。「私たちはそれを《膝応援チーム》と呼んでいるんですが、今後は、次に患者さんの多い肩や腰にも範囲を広げて行きたいと思っています」という。
家で継続して、リハビリを行ってもらうことや、生活習慣を改善してもらうことは、次に起こる『何か』の危険因子を摘み取ることにもつながる。痛くなる前に予防、つまり第三次予防が、第一次予防につながることもあるということだ。

◎病院と地域をつなぐ架け橋『健康教室』

このように福リハでは「患者教育」に力を入れているのだが、それはあくまで、福リハに通院されている患者さんにむけたもの。しかし、それを病院内に留めておくのではなく、今後は外にむけて発信していきたいと考えているという。「地域と連携して《健康教室》というのを開催しています。昔は、来院された患者さんを治療して無事に帰すことが病院の役割でしたが、今は帰した後どうすればいいか、もう二度と病院に来る必要がない体にするためにはどうしたらいいかを考える時代だと思うんです」という。
福リハでは、理学療法士と作業療法士、そして言語聴覚士が手を取り合って、心理状況や治療法を模索していく仕組みがしっかりとできている。精神科の病院ではないが、心理学をいかして、医療に活かすことが大切だということにいち早く気づき、取り入れ、成果を残し始めている。これからのリハビリを変えていく、先駆けとなる病院に違いない。

福岡リハビリテーション病院のリハビリスタッフは、膝・肩・腰などの運動機能を専門とする運動器部門、脳卒中からの回復を専門とする脳血管疾患部門で構成され県内を問わず年間6万名を超えるの患者さんが訪れます。総勢137名のスタッフ構成は、理学療法士(68名)、作業療法士(37名)、言語聴覚士(17名)、アスレティックトレーナー(1名)、健康運動指導士(4名)、クラーク(10名)。

 

取材協力

福岡リハビリテーション病院

092-812-1880
福岡市西区野方7丁目770
http://frh.or.jp

掲載日:2017年05月

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監修:福岡リハビリテーション病院