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久保 厚子さん
66歳。昭和53年に芥屋ゴルフ倶楽部に入社以来、キャディ一筋36年の大ベテラン。3世代に渡って見守り続けたお客様もいる。豊富な経験と周囲を和ませるキャラクターが人気
「任せなさい、走れますよ」
先生の言葉通り、
今では元気に大好きなキャディの仕事に復活
仕事中、突然足が動かなくなりパニックに
「元々動くことが大好きで、じっとしていられないのよ」と笑う久保さんは、芥屋ゴルフ倶楽部のキャディとして働くこと36年。
ゴルフ場の環境、倶楽部のお客様を迎える姿勢や仲間たちに魅せられて、いつしかキャディの仕事が大好きになったのだそう。ゴルフ場を熟知している久保さんは、お客様からの信頼も絶大!トッププロが集まる大会にもキャディとして出場するほどだ。
50代の頃、右足が痛くなったが、仕事に影響がある程でもなかったので、そのまま普段と同じ生活を送っていた。
異変が起きたのは60歳の時。
いつもと変わらずキャディをしていた時だった。ホールに出ている途中、突然足が動かなくなったのだ。しかも痛めていた右足ではなく左足。馴染みのお客様だったこともあり、残り4ホールを手伝っていただき、何とか終了。そのまま病院へ直行することになってしまった。
結果は「変形性膝関節症」。痛い右足を左足で無意識にかばい続けていたからだった。
遡ること発症の2年前、久保さんの親友が「変形性膝関節症」に。
その時初めて症状を知った久保さんは、親友のために症状を調べたりする中で「高位脛骨骨切り術(通称骨切り)」を知ることになる。自分の骨を使って再生させる手術で、O脚となり内側に荷重のかかっている足をX脚ぎみに矯正することで、正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に荷重を分散させるもの。
自分自身の関節が温存されるので可動域が改善され、運動したり正座したりできるようになる。「変形性膝関節症」の進行を遅らせる唯一の手術法とも言われており、とても技術力のいる手術でもあるのだ。
積極的に動きたいという親友のために、この手術をしてくれる病院を探していると、知り合いから「骨切りなら、福岡リハビリテーション病院の花田先生が九州で一番かも」と教えられたのだそう。早速、親友と共に先生に会い、手術の説明を聞いたりしていた。
そして2年後、久保さん自身が親友と全く同じ症状で苦しむこととなる…。
プレートの外れる1年後にはすぐに仕事復帰できました。
それが何より嬉しかった。
いい病院に巡り会えたから今がある
事前に知識のあった久保さんは、動けなくなった職場から真っ先に福岡リハビリテーション病院の花田先生の元へと向かった。
そして先生に「キャディもゴルフもしたいので、手術してください」と自らお願いしたのだそう。症状を診た先生も「高位脛骨骨切り術」を勧めた。当初旦那さんからは「その状態では仕事ができないだろう。やめるしかないな」と言われていた。
「でも花田先生は『大丈夫!キャディができるように、自分の足で走れるように絶対してあげる。僕に任せなさい!』と言ってくれたんです。
本当に嬉しかったし、心強かった。安心して任せられると思いました。そしてその言葉は本当でした。痛みは無くなったし、大好きなキャディの仕事にも復活できました」と話す久保さんの笑顔は、元気に動ける喜びでいっぱいだった。
通常「高位脛骨骨切り術」の場合、デスクワークなら1ヶ月で復帰できる。入院も長くはない。
しかし久保さんの場合は、1日中何キロも走り回り、立ちっぱなしになるキャディという仕事に復帰するという目標があったので、じっくり入院してリハビリすることに。
自宅に小さな子どもがいた久保さんの事情と性格を知る先生は、「あなたはじっとしていられないでしょうから、じっくり入院するのが一番です」とアドバイスしてくれたそう。それに従い長めに入院。安静にもできたし、じっくりリハビリに取り組めたという。
「花田先生のアドバイスは的確です。そしてとてもシャキシャキしていて、病棟の回診も遠くからでもわかる大きな声で、声掛けしながら元気に通り抜けていく感じでした。
入院仲間とも『台風みたいね』って笑っていたんです。入院生活は思っていたより、ずっと楽しいものでした」と振り返る。
病棟の看護師さん達もすごく気にかけてくれたそうで、特に師長さんは〝目配り、気配り〟が凄かったという。
「私達キャディも目配り、気配り〟が大切と教えられてきました。理想とする姿が師長さんでした。本当にお世話になったし、勉強にもなりました」。
骨切り術は術後、プレートで固定しなければならない。
しかし1年後には自身の骨が再生しプレートも外れる。
「リハビリの先生も熱心で、プレートの外れる1年後にはすぐに仕事復帰できました。それが何より嬉しかった。本当にいい病院に巡り会えました」。
手術して6年。
ますます元気に走る久保さんは、昨年、一昨年とトッププロ選手に指名され大きな大会に出場を果たした。天職でもある大好きなキャディを70歳まで続けるのが今の目標だ。
取材協力
☎092-327-0261
☎092-327-1500(予約専用)
糸島市志摩芥屋1-1
蒼い海原と名勝・芥屋の大門を望みながらまわる通称「大門コース(OUT)」と、端麗な糸島富士を正面に見ながらまわる通称「小富士コース(IN)」からなる。毎年8月に「KBCオーガスタゴルフトーナメント」が行われることで有名
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掲載日:2016年04月