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三苫 則夫さん
趣味のバドミントンはサークルを立ち上げ、その代表も務めている。ソフトボール経験もあり、審判の依頼をされることも。
両肩の腱板が断裂、
手術後の懸命なリハビリを経て
工務店の仕事復帰にまで回復
手遅れと言われた右肩も、手術とリハビリで回復。
親の跡を継ぎ工務店を営むこと40年以上。
「昔はクレーンなんてなかったから、木材などを担いでハシゴを登ってたんですよ」と語ってくれた三笘さん。仕事柄、重い荷物を持つことが多く、長年の重労働で肩を痛めていた。違和感を持ちながらも、痛みが引けば仕事には支障がないので病院には行かず、ごまかしつつ仕事を続けていたという。
そんなある日、無理をし続けた右肩がついに悲鳴を上げる。
バイクを運転中に誤って転倒、それをきっかけに力が入りづらくなってしまったのだ。
腕は上まで上がるが、ボールを投げるといった動作ができない。生活や仕事に支障を感じ、いくつかの病院へ行ってみたけれど、診断はすべて五十肩だった。それなら仕方がないと諦めていたが、痛みや不便さに耐えきれず長年お世話になっている、かかりつけ医の元へ。
「気になるなら施設のしっかりした福岡リハビリテーション病院を紹介しますよ」と言われ来院した。
「MRI検査をしてもらって腱板断裂だとわかりました。長年放っておいたので、右肩はすでに手遅れの状態と言われてしまいました。でもあと少しだけ仕事をしたいという希望を聞いた先生が、関節鏡や人工関節などいくつかの選択肢を示した中で、切開手術を勧めてくれて、『これなら大丈夫』と言ってくれたので本当に安心できました。ただ状態が悪かったので、ふとももの筋膜を右肩に移植するという大変な手術方法になりましたが…」。
そんな三笘さんに更なる追い打ちが。
右肩の検査中に左肩までも調子を崩してしまったのだ。すぐに診てもらうと、左肩も腱板断裂していた。不幸中の幸いなのか、左肩は右肩より軽く、関節鏡視下手術で断裂した腱板を繋げることができた。そうして左肩手術から約半年後、右肩の大手術が行なわれたのだ。
無事に手術が終わり、程なくしてリハビリが始まった。
「リハビリは1回も欠かしたことはありません。行くのと行かないのでは、その後の結果が全然違うと思っていましたから」という三笘さん。
コツコツ頑張る姿勢と強い意志でリハビリに通い続け、術後ほとんど上がらなかった腕が退院直前には少し上がるようになったという。これは以前の状態を考えるとすごい進歩だ。退院後も三笘さんの努力は続く。
「通院しながら自宅でのリハビリ方法も教わり、風呂で実行したりしました。日中はなかなかできないですけどね(笑)。
リハビリの通院も欠かさずに行きました。仕事をしたいという目標もありましたし、通えば何とかなると思っていたので。リハビリに励むことで落ち込みがちな気持ちもいい方向へ向かったように思います。
リハビリの先生は私のペースをよく理解してくれていて、少しずつやってくれるので良かったです。自分ひとりではダメになっていたと思うので先生の励ましも力になりましたね。リハビリのやり方や教え方も上手だと思います。辛いこともあるけど、気持ちよくリハビリができたのは先生のおかげかなと。
少しずつ良くなっていくのを実感して、ああ、本当に大丈夫なんだなって嬉しくなったのを思い出します。退院の時にはちょっとだけしか上がらなかった腕が、通院と自宅でのリハビリのおかげで、リハビリ期間終了時には耳まで上がるようになりました。
これには先生も『こんなに腕が上がるようになるなんて正直思っていませんでした』と驚いていました。やはりリハビリは大事なんですね。
あれから2年以上経ちますが、今でも痛くなるとすぐに先生に相談に行きます。それだけでも安心できるのです。
これからも腱板断裂の症状とは長く付き合っていかないといけないですから。仕事もあと5年位は頑張りたいですし」と静かに、でも凛とした眼差しで答えてくれた。
話し始めると、とても気さくで話上手な三笘さん。バドミントンやソフトボールなどスポーツマンの一面も。「本当は大好きなバドミントンをしたいけれど、そこまでの回復ができないのが残念です」
何年経っても気さくに
声を掛けてくれる。その優しさが嬉しい。
治ったら終わりではなく、その後のケアも大事にしてくれる。
「最近は妻の付き添いなどで福岡リハビリテーション病院へ行く機会が増えました。病院へ行くと私が長く入院していたからか、すれ違う看護師さんやリハビリの先生が『どげんしとるね。調子はどうね?』と気さくに声を掛けてくれるんです。
入院とリハビリが終わって随分経つのにスタッフの方々が覚えていてくれて、気にかけてくれるっていうことは嬉しいですよね。治ったら終わりではなく、その後のケアも大事にする。そんな病院に出会うことができて本当に良かったと思います。
ゆっくりですが仕事も再開できたし、今までのことを思うと本当に楽になりました。でもやっぱり今になって思うのは、違和感や痛みを感じた時にきちんと検査を受けておけば良かったなということです。
早めの受診って大切なんですね」と語り、仕事に打ち込む職人の顔へと戻っていった。
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掲載日:2016年10月