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北九州、福岡、筑豊、筑後と、福岡県の4地区に設置している「介護予防支援センター」。介護予防を行う仕組みをつくろうと、福岡市西区保険福祉センターが主導のもと、福岡地区担当の福岡リハビリテーション病院の作業療法士や理学療法士が地域自治体と一緒になって「運動サポーター養成講座」を開講している。
地域・行政・病院が連携
「介護予防支援」のモデル事業に
見学へ行ってきました
みんなで身体を動かして、楽しくおしゃべりして、
健康を維持していこう
この日やって来たのは、壱岐校区にある「つつじヶ丘集会所」。
2014年度、この集会所から8名の運動サポーターが誕生した。
運動サポーターとは、それぞれの地域で自立して、できるだけ介護を必要としない、または介護が必要になってもそれ以上悪化させないために、正しい運動の仕方を学び、広めていく人たちのこと。《自分たちの健康は、自分たちで守らないといけない》という意識のもと、住民同士が助け合っている。
朝10時前。
近所に住む20名以上の人たちが集会所に続々と集まってきた。
顔を合わせて、うれしそうに話す人たち。
ひとしきりの雑談を終えたところで、サポーターリーダーである町野さんの声がけにより、ラジオ体操で身体をほぐし、パイプイスを使って太ももやふくらはぎのストレッチをしていく。
浅くイスに腰をかけて足を伸ばしたり、イスの背もたれを持ってつま先立ちをしながら「いーち、にー、さーん、しー」とみんなで声を出してカウント。声を出したことで身体が温まったのか、それまで以上に笑顔の数が増えてきた。
運動を目的としたこのサロンは、つつじヶ丘集会所では毎月第4木曜日に行っている。
11か月前から参加しているという79歳のある女性は「以前は、自宅の玄関までの階段の昇り降りがつらかったけど、このサロンで運動をするようになってからは、足どりが随分軽くなった」と話す。
身体も心も元気になる!
地域のみんなで助け合う仕組みをつくっていこう
介護予防というと高齢者を対象としたイメージがあるが、このサロンに訪れる人たちは、50代後半の人もいれば80代の人もいる。
82歳の女性に参加したきっかけを尋ねると「近所の人に、『背中が曲がってきたね』と指摘をされてドキッとしたんです。胸筋を広げることが必要だと感じ、わたしの年齢でもできる運動を始めたいと思って」。
いつも参加者が多いというつつじヶ丘集会所のサロン。
限られた広さの中で、これだけの人たちが定期的に集まるのは、健康への意識の高さだけでなく、舵取りをするサポーターたちの努力が、実を結び始めているのかもしれない。
2014年度は、65歳から74歳までの参加率が最も高かった「運動サポーター養成講座」。
「住民主体のサロンづくり」のもと、壱岐校区と壱岐南校区に関しては、西区保健福祉センターと地域自治会、福岡リハビリテーション病院の作業療法士や理学療法士がアドバイスをしながら、サポーターたちの自立を見守っている。
サポーターは参加者たちにただ運動を教えるのではなく、わかりやすく伝えたり、場を和ませるなど、切り盛りの仕方も大切となる。
サポーターの町野さんは「わたしの体調が悪いときは、他のサロンから応援に来てもらっているんです。人材を育てて、みんながリーダーになれる仕組みをつくっていくと、サロンの輪がどんどん広がるはず」と想いを語る。
取材協力
地域保健福祉課
☎ 092-895-7080
西区内浜1丁目4-7
※掲載の記事は、掲載日時点での情報となります。掲載されている、施設名、お名前、役職等、また、医療情報等は当時の情報となります。
掲載日:2015年10月