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(左)福岡市西区保健福祉センター 保健師 阿部 智恵さん
(右)福岡リハビリテーション病院 作業療法士 辰巳 茂樹さん
福岡県は、北九州、福岡、筑豊、筑後と4地区に介護予防支援センターを設置。福岡地区では、福岡リハビリテーション病院が担当している。
地域・行政・病院が連携
地域の「介護予防支援」のモデル事業、始動開始!
介護予防への関心度は
自分や大切な人たちを守る材料のひとつとなるはず
いつまでも自分らしく自立して暮らしたい―。
歳を重ねるごとに、誰もが願ってやまない健康への想い。できるだけ介護を必要としない身体づくり。また介護が必要となってもそれ以上悪化させないような取り組みのことを「介護予防」という。
現在、要支援1、2の介護保険サービスを受けている人たちは、2015年4月の制度改正により、2017年までに市町村が実施する地域支援事業に移行することが決まった。
そもそもこのサービスは、要介護者をできるだけ増やさないために行っていたことが背景にある。要支援者の人たちを含め、今後わたしたちがいつまでも元気で暮らしていくためには、地域で支え合うことが不可欠。
そこで、福岡市西区保健福祉センターが主導のもと、それぞれの地域が自立して「介護予防」を行う仕組みをつくろうと、まずはモデル事業として、地域と行政、病院が連携して取り組んでいく試みが始まった!
地域でリーダーを育成して指導していく画期的な仕組み
「介護予防サポーター」制度
この制度が掲げるように、各地域の中で介護予防が成り立てば、こんなに素晴らしいことはない。住民同士が助け合い、コミュニケーションが生まれ、町は活性化していき、なるべく介護を必要としない身体をつくり上げていく。
この目標に近づくために、西区保健福祉センターと地域自治会が、サポーターになりたい人たちの選出や「運動サポーター養成講座」を開講する日程調整などをフォロー。
次に福岡リハビリテーション病院の作業療法士、理学療法士による、サポーター希望者への教育や技術指導を行う。
5回の講習後に「運動サポーター認定」を受けた地域の人がリーダーとなり、同じ地域の公民館や集会所でサロンを運営していく。
誰かの役に立てると、人は喜びを感じる
「運動サポーター養成講座」スタート
「心にハリが出てうれしい」
サポーターという役割が人々にもたらすもの
「いかに自主的に、継続的に取り組んでくれるかが課題だと思います」と保健師の阿部さん。
阿部さんと辰巳さんは、専門的な技術を教えるなどあくまでサポートをする立場。
《自分たちの健康は、自分たちで守らないといけないんだ》と住民意識が根底にあってこそ成り立つという。
特に2014年度に実施した自治会では、自治会長や民生委員など、すでに地域のリーダーとして活動している人たちが、養成講座に参加したことが大きなカギとなった。
また、公民館だよりにサポーターのことを紹介したり、体力測定や出前講座も活用しながら進めた。
「地域のみなさんと何度も何度も話し合い、想いを共有させることに一番時間をかけました」と話す阿部さん。
その甲斐あって、2014年度は71名の運動サポーターが誕生!
現在ではサポーターに生きがいを感じている人や、仲間意識が生まれて「お揃いのTシャツをみんなでつくろう」という声も挙がっているのだとか。
「『わたしたちのサロンや公民館でも養成講座に参加をしたいです!』と言ってくれたらそれが理想。そういう声が増えるように、がんばりたいです」。
2014年度に実施した、壱岐校区・壱岐南校区の場合
1時間程度の講座を5回にわたって行う「運動サポーター養成講座」。
ひざや腰の痛みなど、高齢になると起こる身体の症状などの原因や、予防するためのストレッチや筋トレなど正しい運動法、そして場づくりのためのワークショップをレクリエーション形式で学んでいく。
年齢とともに衰えやすい太ももの筋肉を強化するにはどうしたらよいのかなど、正しい運動の仕方をマスターしたら、次はどう人に伝えたら楽しんでもらえるか、みんなで考えながら進めていった。
養成講座を修了後、最初の3か月は辰巳さんや阿部さんたちがサロンに出向いてフォローを行い、その後は徐々にサポーターたちにバトンタッチ。
2014年度は65歳から74歳までの参加率が最も高かった。
壱岐校区と壱岐南校区に関しては、今年度はサポーターの自立を支援しながら体力測定などを通じて参加者を広げていく予定。
また新規サロン開拓として、今年もいくつかの校区を予定。
養成講座を行うので、他の校区の参加もお待ちしております!
取材協力
地域保健福祉課
☎092-895-7080
西区内浜1丁目4-7
※掲載の記事は、掲載日時点での情報となります。掲載されている、施設名、お名前、役職等、また、医療情報等は当時の情報となります。
掲載日:2015年05月