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初期症状には手術をしない治療を

膝や腰などの痛みに、手術をしないで治療をすることを保存療法といいます。
膝疾患の患者さんを例にすると、40歳以降からの膝の痛みの主な原因は変形性膝関節症ですが、これは年齢とともに少しずつ膝が変形していく病気なので、初期の段階は手術をせず保存療法を行います。

変形性膝関節症は、年齢に伴う軟骨の変性(老化)により、膝の内側の軟骨が擦り切れ、痛みが生じます。下の写真のようにグレード1から4へと除々に膝の変形が進行していきます。

かなり変形が進み、グレード3~4で痛みが強い状態になると手術が必要となりますが、グレード1~2(または3)の多くは保存療法で痛みを改善していきます。

リハビリで鍛え、痛みを軽減

膝疾患の保存療法では、ヒアルロン酸注射、痛み止めの飲み薬、湿布などの薬物療法、サポーターや足底板などの装具を用いるなど、いくつかの治療をしばらく続けて痛みが軽減される方もおられます。

膝の変形が手術が必要なほど進行していないのに、痛みで日常生活に支障をきたしている方などには、医師の指示のもとでリハビリを行います。

リハビリを行う前に、理学療法士は患者さんの状態を見て日々の生活習慣を伺います。その上で膝のストレスになるものは何かを見極め、目標に向かってリハビリを行います。たとえばテニスがしたい、お店で立ち仕事がしたいなど、患者さんの目標に応じてリハビリを進めていくのです。

まず膝の痛みで動けない患者さんには、温めたり、マッサージやストレッチなどを行います。こうして動けるようになったら運動の開始です。

膝が痛い人の多くは膝の柔軟性が失われて、膝の角度が100度くらいしか曲がらずに過ごされている方もおられます。そのような方には膝の柔軟性を鍛えるトレーニングを行います。また、筋力が落ちて体重を支えられなくなっている方には筋力をつけるトレーニング、肥満が膝の負担になっている方には有酸素運動を行うなど、リハビリのメニューは患者さんに応じたオーダーメイド。トレーニングも除々にレベルアップし、チューブやボール、マシンなどを使って日頃使っていない筋肉を鍛えていきます。

大切なのは、生活を改善すること

そして大切なのは、痛みを予防するために今までの生活習慣を見直して改善すること。福岡リハでは、保存療法の一環として生活改善の指導も行っています。膝や腰が痛い方は太り気味の方が多いので、減量すれば膝や腰の負担も軽減できます。膝の負担にならない歩き方や姿勢などもトレーニングに含まれていますので、ぜひ日頃から気をつけていただきたいですね。また、椅子から立ち上がる時膝が痛まないように座ったまま膝を動かしてから立ち上がることなど、日頃できるセルフケアや運動も指導しています。

リハビリは鍛えながら痛みの軽減と予防にも役立ちます。変形性膝関節症は年齢とともに進行しますが、リハビリで活動できる体の維持を目指しています。病院のリハビリだけでなく、毎日運動を続けて生活習慣に気を配り、いつまでも元気にご活躍いただきたいですね。

 

福岡リハビリテーション病院
理学療法士

野原 英樹 先生

 

取材協力

福岡リハビリテーション病院

☎092-812-1880
福岡市西区野方7丁目770
http://frh.or.jp


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掲載日:2020年02月

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監修:福岡リハビリテーション病院