福岡リハビリテーション病院 | ろこも予防情報サイト 提供 シティ情報ふくおか 福岡リハビリテーション病院

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福岡リハビリテーション病院 副院長 兼 脳神経外科部長 /
福岡大学  臨床准教授 入江 暢幸先生

【専門】脳神経外科全般
・日本脳神経外科学会 《専門医》
・日本リハビリテーション医学会 《専門医》《認定臨床医》
・医学博士

正しく知って、正しく予防
生活習慣改善と脳ドックで脳卒中のリスクを軽減

ある日突然起こる「脳卒中」は、重度の後遺症が残りやすい怖い病気と言われています。
65歳位以上の寝たきりの原因の第1位で38%に及びます。
脳卒中は大きく2つのタイプに分かれています。脳の血管が詰まるか破れるかです。
血管が詰まり血流が途絶えてしまう『脳梗塞』、もろくなった血管が破れてしまう『脳出血』、さらに血管にこぶのような動脈瘤ができ破裂するのが『くも膜下出血』です。
それら3つを称して「脳卒中」といいます。
脳卒中は冬に多いと思われている方もいらっしゃいますが、熱い夏こそ注意が必要なのです。もちろん冬場も外気温と室内温度の差によるヒートショックで血圧が急に上がり脳出血のリスクを高めます。夏場は脱水症状になりやすく、脱水になると血液がドロドロになってしまいます。結果、血管がもろくなり脳卒中のリスクを高めるのです。ですから夏場の水分補給はとても大切なのです。

◎おかしいなと思ったらすぐに救急車を

脳卒中は1秒でも早い治療がその後の生活を左右します。特に脳梗塞は自覚症状が出てから4時間半以内であれば最新治療であるt‐PA治療が受けられ、後遺症も軽くなる可能性があります。自覚症状とは、顔の片側が歪む『顔面麻痺』、片腕が上がらない『半身麻痺』、ロレツが回らない『言語障害』です。おかしいと思ったらすぐに救急車を呼びましょう。

◎脳卒中「予防」は高血圧予防から

脳出血や、くも膜下出血は事前の自覚症状がありません。
破裂してから激しい頭痛に見舞われます。
症状が出てからでは障害も残りやすく、その後の生活に苦労される方が大変多いのが現状です。

脳卒中に一番いいのは「予防」です。
危険因子は高血圧・糖尿病・コレステロールが高い脂質異常症・心房細動・喫煙・過度の飲酒です。日常生活においては、動脈硬化につながるタバコを止める意思を持ちましょう。
副流煙は家族の脳卒中リスクも高めます。お酒は適度な量ならいいですが飲み過ぎると血圧が上昇し、脳卒中になる危険が1・6倍になります。適度な量とはビールなら中ビン1本、日本酒なら1合弱、焼酎なら1/2合です。食事も塩分や脂肪を控えめにし、高すぎるコレステロールにも注意しましょう。
太り過ぎないよう適度な運動も大切です。日頃の生活を改善するだけで脳卒中のリスクを減らすことができます。

さらに高血圧や糖尿病の方は、まずは治療から始めましょう。
また不整脈かなと思ったら必ず病院を受診してください。
特に高血圧は脳卒中にとって一番の危険因子。血圧が高くなるほど発症率は上昇するという研究結果も出ています。高血圧が続くと動脈硬化になり、血管がもろくなります。劣化し固くなったホースが裂けやすいのと同じです。
高血圧治療や予防のためにも自分の血圧を知ることは大事です。診察時の血圧は通常より高くなります。自宅で測る「家庭血圧」を明記して診察時に持って行くと、より正確な診断ができます。家庭血圧は起床から1時間以内、トイレを済ませた食前に測ることが望ましいでしょう。変動しやすいので2回測定することをお勧めします。
血圧計も気軽に入手できるので、是非血圧計測を習慣にしてください。

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生活習慣を改善することが
一番の予防

◎まずは自分の脳の状態を知ろう

生活習慣を改善することは一番の予防になります。半身麻痺や寝たきりなどの障害が残りやすい脳卒中は、なってからでは遅いからです。
そして「予防」のためにも、今、自分の脳がどういう状態にあるのかを知ることも有効な手段だと思います。一番のポイントは血管は細くないか、動脈瘤ができていないかを確認することです。それができるのが『脳ドック』です。
もちろん、早期発見・早期治療を目的としたドックではありますが、自分を知るという意味でも検査して頂けたらと思います。

◎様々な角度から検査する脳ドック

福岡リハビリテーション病院で行う脳ドックは、生活習慣などの問診後、MRI検査、首の動脈血管が狭くなっていないかを調べる頸動脈エコー、不整脈を調べる心電図、糖尿病や高コレステロール血症がないか調べる採血、心臓や肺に病気がないか調べる胸部X線検査を行い、脳神経外科専門医が検査結果を元に診断します。
また見落としや診断の偏りがないように、最終診断は2名以上の医師で行っています。

画像で診断するMRI検査は、画像の解像度が高いほど見やすく、より正確な判断ができます。
当病院では、0・4テスラが主流のMRIより、さらに解像度のいい1・5テスラの高性能機器を使用しています(テスラは値。数字が大きい程、解像度が上がる)。動脈瘤や、かくれ脳梗塞だけでなく、脳腫瘍や脳の萎縮も分かります。自覚症状がない病気も多く、健康な人は通常受診はできません。しかし脳ドックなら健康な方でも検査することができ、現状把握することで予防にも繋がります。

健康保険適用外ですが、福岡リハビリテーション病院では、3万6000円で全ての検査ができるので、一度、脳ドックを受けられることをお勧めします。
検査と予防で健康寿命を延ばして、より楽しい人生を送りましょう。

◎脳ドック料金表

◆脳ドック
[検査項目] MRI検査、頸動脈エコー、血液検査、検尿、心電図、胸部X線
[検査目安時間] 約2時間
[検査料金] 36,000円(税込)※健康保険はご利用出来ません

◆脳ドックmini
[検査項目] MRI検査
[検査目安時間] 約1時間
[検査料金] 22,000円(税込)※健康保険はご利用出来ません

◎脳ドック受付時間

毎週月曜日〜金曜日 午後1時30分から

取材協力

福岡リハビリテーション病院

☎092-812-1880
福岡市西区野方7丁目770
http://frh.or.jp

※掲載の記事は、掲載日時点での情報となります。掲載されている、施設名、お名前、役職等、また、医療情報等は当時の情報となります。

掲載日:2016年04月

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監修:福岡リハビリテーション病院