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福岡リハビリテーション病院 院長 兼 内科診療部長 木原 亨先生
【専門】消化器疾患、肝・血管疾患
病気の予防と早期発見・治療のために
健康診断・検査を受けよう
◎健康診断を受けないのはもったいない
皆さんは健康診断や検査を定期的に受けていますか?受けていないという方は、まず年に一度は健康診断を受けるようにしましょう。健康診断は、生活習慣病の予防や早期発見・早期治療につながります。
実は私自身も、一年前の診断で中性脂肪値が高めとわかりました。その後、炭水化物を控えるなどの食事管理を行い減量して、今年の中性脂肪値は正常に戻ったのです。このように、健康診断で血圧や血糖値、中性脂肪値などが「高め」の方は、食事に気をつけたり運動を続けるなど、生活習慣を整えれば改善されることがあります。健康診断は自分の体の状態を知り、医師や管理栄養士、保健師の指導で病気を予防できる機会なのですから、受診しないのは実にもったいないと思います。
また、痛みや不調を感じないから健康診断や検査を受けないという方もいますが、初期の生活習慣病はほとんど自覚症状がありません。しかし、高血圧や脂質異常症は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めますし、糖尿病が悪化すれば合併症(失明・腎臓病・人工透析など)を引き起こす可能性もあります。だからこそ、早期発見・早期治療が大切なのです。もし、健診や検査の結果受診を勧められた場合は、放置せずに医療機関で診察を受けてください。
【よかドック】
『よかドック』は、生活習慣病を早期発見するための福岡市特定健診です。日本人の死亡原因の約6割を占めているのが生活習慣病。知らず知らずのうちに進行して、ある日突然倒れるケースもあります。そうなる前に、定期的に健診を受けて、健康維持につとめましょう。
◎内容:
身体測定・血圧測定・尿検査・血液検査(コレステロール・血糖・肝機能・尿酸・クレアチニン・貧血)・心電図・問診など
◎自己負担:500円
生活習慣病予防健診には『よかドック30』『後期高齢者健康診査』等もあります。
【日帰りドック】
福リハには特定健診より詳しく体を検査したい方のための日帰りドックがあります。血液検査31項目のほかに、胸部のレントゲン撮影や腹部エコー、胃カメラなども含み、詳細な検査が受けられます。さらに腫瘍マーカーや動脈硬化、骨密度など、気になる疾患があればオプション検査を加えることができます。
◎内容:
身体測定・血圧測定・尿検査・血液検査(コレステロール・血糖・肝機能・尿酸・クレアチニン・貧血)・心電図・問診など
◎自己負担:500円
生活習慣病予防健診には『よかドック30』『後期高齢者健康診査』等もあります。
◎予防と早期発見早期治療が大切
日本人の死亡原因の第1位はがんです。国民の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで亡くなっている現代では、誰もが罹りうる身近な病気といえます。しかしがんは、早期発見・治療により治癒の可能性が高まる病気なので、定期的に検査を受けることが重要です。
また、2位の心疾患、3位の脳血管疾患も、病気の大きな原因となる動脈硬化の検査や脳ドックなどによって予防や早期発見・治療につなげることができます。
【胃がん検査・検診】
日本では年間12万人以上が胃がんと診断されています。その原因としては、塩分の過剰摂取、野菜・果物の摂取不足やタバコ、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃炎などが考えられます。(ピロリ菌に感染すると未感染者に比べて20倍以上がんになりやすいことがわかっています)特に50歳以上の方は定期的に検査を受けましょう。早期に発見し適切な治療を受ければ9割が治癒します。
●胃カメラ検査(健康保険)
◎内容:福リハでは口から入れる内視鏡か鼻から入れる内視鏡を選択できます。
◎料金:3割負担の方で約4,000円・1割負担の方で約1,300円※
★胃がん検診
◎内容:胃透視又は胃カメラ
◎自己負担:1,800円
★胃がんリスク検査
◎内容:血液検査(ピロリ菌抗検査+ペプシノゲン法)
◎自己負担:1,000円
【大腸がん検査・検診】
大腸がん患者の多くは50歳以上で、男女ともに40歳頃から急増します。40歳になったら定期的に検査を受けましょう。大腸がんはほかのがんよりも比較的治りやすいがんであり、早期の段階で発見すればほとんどの場合、内視鏡治療のみで治ります。
●大腸カメラ検査(健康保険)
◎内容:福リハでは麻酔で眠ったまま検査ができます。
◎料金:3割負担の方で約5,000円・1割負担の方で約1,700円※
★大腸がん検診
◎内容:2日間の検便による便潜血検査
◎自己負担:500円
★前立腺がん検診
前立腺は男性にのみある臓器です。60歳頃から高齢になるにつれて罹患率が高くなるので55歳を過ぎたら定期的に検診を受けましょう。
◎内容:PSA血液検査(10月・2月のみ実施)
◎自己負担:1,000円
●脳ドック
脳卒中は発症すれば命に関わり、マヒなどの後遺症が残ることが多く完治することが難しい病気です。近年では高齢者に限らず、若い働き盛りの世代でも多くの方が発症しています。脳卒中を発症する前に早期発見・早期治療を行うことが、健康を守る最善の方法です。
脳ドックは、脳卒中の原因である脳梗塞や動脈瘤、脳腫瘍などがわかるMRI・MRAの画像診断をはじめ、血栓(血の固まり)が出来やすくなっていないか、血管が細くなっていないかなど様々な方法で検査を行います。
◎内容:問診・MRI撮影・心電図・採血・検尿・胸部X線・頸動脈エコー
◎料金:36,000円
●動脈硬化検査
年齢を重ねると血管が徐々に硬くなり、また、血管の内側に脂肪などが付着して内壁が厚くなります。このような状態が動脈硬化で、血管が狭くなって血液が流れにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症など、重篤な病気を引き起こします。福リハでは専用の精密機器で血管の硬さや詰まりがわかる動脈硬化検査を行っています。
◎内容:動脈硬化検査(ABI)
◎料金:3割負担の方で300円・1割負担の方で100円※
●骨密度検査
骨粗しょう症は、骨がスカスカになる病気です。この病気自体に痛みなどの自覚症状はありませんが、骨折しやすくなるのが問題です。骨折を繰り返すと身体機能が落ち、要介護や寝たきりになる人も多くいます。特に女性に多い病気なので、閉経後は定期的に骨密度を測定しましょう。福リハ整形外科クリニックでは、骨代謝を評価する骨代謝マーカーや骨密度を測定するDEXA(デキサ)という機器で検査を行います。DEXAは骨折しやすい腰椎と大腿骨の骨密度を検査する高精度の機器です。
◎内容:DEXA法(大腿骨同時撮影)骨塩定量検査
◎料金:3割負担の方で1,350円・1割負担の方で450円※
★B型・C型肝炎ウイルス検査
過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがない人は検査を受けましょう。また、検査で陽性と判定された人には精密検査費用や医療費の助成制度があります。
◎内容:血液検査
◎自己負担額:満20歳以上無料
●個人健診
進学や就職試験、資格試験などに必要な個人健診を受け付けています。
●企業健診
従業員の方の健康管理や病気の予防および早期発見を目的とした企業健診を受け付けています。
『★』印は福岡市が実施している健診・検診です。福岡市にお住まいの方が対象で年齢などの条件があります。
『※』印の検査にかかる料金は、一般的な目安です。初診料または再診料など別途かかります。詳しくは福岡リハビリテーション病院までお問い合わせください。
取材協力
092-812-1880
福岡市西区野方7丁目770
http://frh.or.jp
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掲載日:2018年12月