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専門家に聞く食事療法
身体に合った食事で、
骨折しない骨づくりを
骨の材料になるものは、食事から得られている
骨粗しょう症は高齢者に多い病気ですが、年齢を問わず激しいスポーツを日常的にしている人やダイエット中の人も注意が必要です。たとえば毎日部活などで厳しい練習をしているのに、食事は菓子パンが中心で甘い清涼飲料水ばかり飲んでいるような食べ方をしていると、骨折を誘発してしまうかも知れません。なぜそのようなことになるのかというと、骨をつくるための材料、つまり栄養が十分に足りていないから。私たちは骨の代謝に必要なものを毎日の食事から得ているのです。
適度な運動は骨粗しょう症の予防に良いとされていますが、日常的に継続して激しい運動をしている場合、栄養バランスが崩れると骨粗しょう症のリスクが高まります。特に陸上長距離走や新体操など体重が軽いほうが有利な種目は食事の内容に注意しましょう。
このように若いアスリートでも栄養バランスが崩れると骨粗しょう症や骨折のリスクが高まるのですから、閉経後の女性やすでに骨粗しょう症と診断された患者さん、骨折歴のある人は特に栄養に配慮しなければなりません。
持病や体質に配慮した栄養の摂り方を
骨に良い栄養素を聞けば多くの方は「カルシウム」と答えるでしょう。確かにカルシウムは骨の健康に欠かせませんが、それだけではないのです。骨づくりにはたんぱく質、カルシウム、リン、マグネシウムが必要です。吸収や合成には、ビタミンD、K、C、B群なども関与します。ひとつの栄
養素を摂れば良いわけではありません。
医師から処方された医薬品のカルシウム製剤やビタミンD3製剤を正しく服用するのであれば良いのですが、自己判断でサプリメントなどを用いてひとつの栄養素を摂りすぎると過剰症を招くこともありますので、栄養素は食事から毎日少しずつ摂ることを心がけましょう。カルシウムを多く含むのは牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜や大豆など。たんぱく質は肉、魚、卵、豆、乳製品などから摂れます。ビタミンDは干し椎茸などの乾物や魚類、きのこ類にも豊富です。
ここで注意して欲しいのは、自分の体質や持病を考えて食事をする必要があるということ。例えばコレステロールが高めなら牛乳でも低脂肪のものが良く、お薬を飲んでいる場合は、食品との食べ合わせに注意が必要なこともあります。医師や薬剤師に確認しましょう。個人の身体に合わせた食べ方は、私たち管理栄養士がお手伝いできます。
骨粗しょう症の予防と治療は運動・食事・お薬の3つがすべて大切です。ぜひこの3つを続けて、骨折をしない骨づくりをしましょう。
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掲載日:2018年09月